南アフリカ共和国財務省職員向けのPPPセミナーを実施
昨年8月に続いて、2017年5月31日に国際協力機構(JICA)の技術協力支援プロジェクトで日本に招聘されている南アフリカ共和国財務省職員計8名に対してJICA横浜にてPPPセミナーを実施しました。
セミナーでは、PPPプロジェクトの計画・査定、PPP政策や体制、ニーズ分析やオプション分析などに関する重要なチェックリストをそれぞれ事例を交えながら解説しました。参加者からは、RFI(資料依頼書)を出しても民間から反応がない、民間業者との事前調整のあり方などに関して質問がなされ、田渕教授と難波准教授から民間の参加を促進するためのインセンティブの重要性や、事前説明会への参加もプロジェクト入札時の得点項目の1つとするなどの提案がされたほか、日本で2015年に制定された「PPP事業における官民対話・事業者選定プロセスに関する運用ガイド」の事例紹介を行いました。また、民間企業へのPPPへの理解を深め、事業への参入を促進するために日本各地に設立されているPPPプラットフォームの事例紹介も行いました。
この他、南アフリカでの高速鉄道事業に関連して、東京の鉄道網の整備では当初政府が公共事業として主要な鉄道網の敷設を行った後、民間である私鉄会社がそれらを基盤として複数の接続線の開発を行い、鉄道周辺の住宅や商業開発を並行して行った歴史を紹介し、インフラ開発では人々の動き・流れに沿ったスムーズな乗換を考慮する必要性や、開発事業をPPPで行うかどうかは国家戦略の下での包括的な判断が必要であることを説明しました。
また、岩手県紫波町の市庁舎ではコスト高ではありますが地元経済への経済支援の一環として県内産の木材を使用した例を挙げ、価格の安さが必ずしも最善の選択にはならないこともあること、VFM(Value for Money)は価格だけでは示せない例もあることを紹介しました。
セミナー後半では、Tembisa開発プロジェクトとGautrain(高速鉄道)開発プロジェクトの事例の発表を聞いた後、それぞれの問題点や課題についての活発な議論が行われました。